振袖選びは親の希望に沿ったあの頃

振袖選びは親の希望に沿ったあの頃

人式の振袖は白地に花や手毬の描かれた華やかな図柄でした。
朱色が多く使われ、いかにも二十歳の晴れの日を祝うというデザイン。
菱型模様の織り柄が入っていたのを覚えています。
最もこれを選んだのは母と祖母なのですから地味な図柄を選ぶはずもありません。
成人する本人が選ぶと地味で渋いデザインを選ぶことが多いですが、それもまた素敵なんですよね。

当時、実家から離れて一人暮らしをして短大に通っていた私は成人式の前日に帰省して、近所の美容室にて翌日の着付けと髪型をどうするかについて打ち合わせをしました。
そこでも美容師さんが薦めてくる髪型はヘアカタログで最も多く見るタイプのアップスタイル。
嫌いじゃないけどもう少し個性的なのないのかな・・・と自分も選んでみたけど却下されてしまいました。
残念なことに直前に前髪を自分で短く切ってしまい、着物に似合わないと美容師さんを困らせてしまいました。

個人経営の美容室ですが10人程の成人式の支度を受けているらしく、着物を買ったのは我が家だけで他は皆レンタルだったそうです。
さて成人式当日の朝は慌ただしく髪をセットしてもらい、お次は着付け、すぐに写真館へ移動、終わり次第式場へ急ぎました。
一日で写真も撮ったのですから忙しかったです。その頃はデジタルではないので、今ほどの枚数は撮らなかったからそれで済んだのでしょうね。
写真に写る振袖は正直綺麗でした。気恥ずかしくて親には素直にお礼も言えなかったけれど、自分は親に愛されてるという実感を噛みしめていたのです。
私の振袖は大手の着物チェーンのもので似たデザインも数種類ありました。

地色は多分一緒で図柄は花車だったり、花の種類が多少違っていたり。人気傾向のデザインを増やすことで、ギリギリ他人とかぶるのを避けてたのでしょう。
せっかく買ってもらった振袖ですが、その後友達の結婚式で一回着ただけでタンスに眠っています。
お値段を考えるともったいないのですが、正直それでよかったと思ってます。

二十歳の自分にとって学費と振袖の両方のお金を出してもらうことに遠慮があったので、家族が着せたい着物を着ようと考えていたのです。
友達は総絞りの着物や黒地に鳳凰が描かれている地味派手デザイン、少数派だけど洋服の人もいてそれぞれ精一杯着飾っていましたね。
そういえば私、キツネか何かのショールを買ってもらってました。それも安くなかったのですけど。経済的にどこか親に悪いような気持ちがしていた成人式でした。


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